【職人様訪問】
咲矢弓道具では、弓道愛好家の皆様と、弓道具製作者様、弓道具店様をより良く、お繋ぎすることを目標に活動しています。
当コーナーでは、職人様にスポットを当て、弓道具と、その人を紹介させていただきます。
第10回は、正絹帯・帯締めを使用した弓道具の製作者、丸山様にお話しを伺わさせていただきました。
咲矢弓道具では、ファスナー付弓袋を取り扱わせていただいております。
Q.弓道具作製を始めた理由はありますか?
A.3つくらいのきっかけがあったと思います。
1つ目は娘が服飾関係の大学に入ったこと。2つ目はコロナ禍で授業がリモートになり、
私もその授業の様子を見られたこと。3つ目は母が亡くなり、箪笥2棹分の着物や帯を
譲り受けたことです。
Q.弓道具を作ってみよう、というのは?
A.私は高校時代弓道部で活動していて、弓袋を作った経験がありました。そして、母の帯
を何にリメイクしようかと考えていた時に、たまたま咲矢弓道具のスタッフの方とお話
する機会があり、弓袋なら帯の長さを活かせると思い、作製を始めました。娘のアドバ
イスのおかげで、自信を持って皆様に提案できる品が作製できました。
Q.例えば、どんな所が娘さんのおかげですか?
A.色彩やデザインを勉強しているので、私が帯・帯締め・ファスナーの色の組み合せで迷っ
ていると、意外な組合わせを提案してくれます。しかし、そこには色相や彩度、明度など
の理論として根拠があり、仕上げると確かに素敵になります。娘には感謝ですし、ありが
たいです。私らしさは帯の柄選びで発揮しています。私は動物園勤務の経験があり、動物
が好きです。そのため、動物や鳥,魚,虫等の図柄ばかり選んでしまっています。それと、
大柄で大胆な図柄も好きなので、そういう柄も選んでしまいます。咲矢さんからは、様々
な方がいらっしゃるので、偏らないで欲しいです、との要望を受けたりするので、少しず
つ努力してみようと思います。多くの弓道愛好家の皆様に、私の選んだ柄も好きになって
いただけると嬉しいです。
Q.夢や目標はありますか?
A.娘のリモート授業の中で、アパレル業界の環境への大きなダメージの問題や、リアルファー
(天然毛皮)ではなく、エコファー(代替品)を使おうという業界の流れがあることも学びま
した。そんな中で、一つの疑問が起こりました。新しくリアルファーを生産しなくなるこ
とは、動物好きの私にはとても喜ばしいことなのですが、既にあるリアルファーを廃棄し
たり死蔵(全く使われない状態で保管されている事)させたりするのは、かえって良くな
い事なのではないかなと。正絹帯も1枚に約3000匹の蚕が使われているそうです。そして
日本国内には、8億枚もの帯や着物が死蔵されていると言われています。用途を変えて生
まれ変わらせ、長く愛用してもらいたいというのが、私の願いです。
咲矢スタッフ:ありがとうございます。私達スタッフも丸山さんと思いを同じにしながら、
少しずつ進んで行きたいと思っています。
今日はお忙しい中、ありがとうございました。
丸山さん:ありがとうございました。
この後、丸山さんと次の作品の話やファスナー付弓袋以外の商品企画もして、盛り上がりました。
夕方から始まったインタビューでしたが、気が付くと夜8時半を過ぎていました。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。