南﨑寿宝様インタビュー

【職人様訪問コーナー】

咲矢弓道具では、弓道愛好家の皆様と、弓道具製作者様、弓道具店様をより良く、

お繋ぎすることを目標に活動しています。

当コーナーでは、職人様にスポットを当て、弓道具と、その人を紹介させて

いただきます。

 

第7回は、南﨑寿宝先生に、お話しを伺いました。

南﨑寿宝先生は、薩摩弓の系譜に連なる、宮崎県都城市の弓師であり、経産大臣

指定伝統工芸品、都城大弓の伝統工芸士であり、宮崎県認定の伝統工芸士でもあります。

初代 南﨑美利先生、二代 操先生、三代 寿宝先生、そして、現、四代 南﨑寿宝先生

へと受け継がれています。

大変お忙しい先生ですが、私共の拙い質問に、一つ、一つ、丁寧にお答えいただき

ありがとうございました。

 

Q. 弓の特徴、そして大事にしている所を教えて下さい。

A. ・お使いいただいている皆様には、「軽い」とよく言われます。

・手曲げにより、深い裏反りを付けています。

・火入れを丹念に行うことを心がけています。

・形としては、初代 南﨑美利(みなみざき みとし)先生の良い弓を手本とし、

参考とさせていただいています。

Q. ご自身が思う“良い弓”とはなんですか?

A. ・軽く冴える、カンの良い弓です。

・手の延長になるような、持っていないような、体と同化するような弓が良い

弓だと思います。

Q. 弓を作る工程で一番難しい所を教えて下さい。

A. ・“打ち込み”です。全く同じ所を叩いていくのに、毎回、全く違った弓に

仕上がります。

・平常心を保つことが一番大事だと思います。

・くさびを叩いていく時、同じ音、同じリズム、そこに集中しています。

(この部分、南﨑寿宝先生の最も思いの込められている言葉です。何とか

補足・説明して、その真剣さ、奥深さ、職人魂をお伝えしたい、と考えましたが、

すみません、何を書いても真実に遠く及ばない気がします。

皆様の人生の瞬間で、無になり、集中する瞬間、その時間を20分程続けていく

工程でしょうか?「とても疲れる作業です。」と話されていましたが、その話を

される南﨑さんは、とても輝いていました。素敵で、ちょっと羨ましく思いました。)

Q. 楽しいな、と思う時はどんな時ですか?

A. ・弓を張った時、きれいな姿が現れた時です。

・苦労して、良い弓に仕上げていく時も可愛くて良いんですけどね。

 

 

Q. お勧めのお手入れ方法はありますか?

A. ・白木用のワックスを、内竹・側木に時々薄く馴染ませるのは良いと思います。

・竹の油抜き時に使用した布で弓を拭うと、とても良い仕上がりになります。

・内竹は、縮み側なので、お手入れしていただいて大丈夫です。

Q. 弓の張り方を教えて下さい。

A. ・弓を張る、というのは、弓を押すのと同じことなので、“弓の矯整をしている

のと一緒”という感覚を持って下さい。そのため、弓の一番強い所を持って

張るのが良いと思います。

・弓力が弱い弓は、下の方が強い場合が多いので、下を持つ方が良い場合が多い

です。

・張った後、弓成りを見て、上下のバランスの調整を行って下さい。

Q. 慣らした弓で、1日20射程度と言われていますが、どうですか?

A. ・新弓の内は10射程度迄が良いと思います。

・週3日以上お稽古される方は、2張目をお勧めします。

Q. 弓弝のお勧めは?

A. ・15㎝がお勧めです。(弓弝が低いと、ひっくり返り易くなり、破損の原因と

なります。お気を付けて下さい。)

 

以上で質問が終了しました。

まさに、ザ・職人!というオーラが溢れ、場の空気を包んでいました。その気配は、

作品である弓に全て込められています。一張一張に、魂が込められ、それぞれの

特徴を生かし、仕上げられた作品は、コピーや複製品では決して真似できない、迫力

と静かさ、取扱いさせていただくことの喜びを教えてくれます。

 

最後に、南﨑寿宝先生の好きな言葉を尋ねました。それを紹介させていただきます。

『守・破・離』

①先人の教え“型”を徹底的に守り、習得する。『守』

②更なる高み“最良”を目指し、修業、新しい挑戦をする『破』

③先人の型、自身の型を知った上で、“自在”の境地になる。『離』

ということのようです。どこかで聞いたことのある言葉でしたが、こんなに深く、

素敵な教えだったとは知りませんでした。

ありがとうございました。

また次回お会いして、お話しを伺わせて下さい!

 

南﨑寿宝先生 お手姿

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