弓道を続けるかどうか、まだ決めていない皆さんへ
三年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
卒業式を終えた今、すでに進学先や社会人として弓道を続けることを決めている方もいれば、「これから弓道、どうしよう」と考えても正直まだ答えが出ていないという方も、きっと少なくないと思います。
新しい生活への期待や不安で頭がいっぱいで、弓道のことまで考える余裕がない。あるいは、楽しかった思い出ときつかった記憶がないまぜになって、自分の気持ちがよくわからない。
今日は、そんな皆さんに向けて書いています。 「続けたほうがいいですよ」とか「離れたほうがいいですよ」ということを言いたいわけではありません。 ただ、かつて同じ気持ちでいた一人の話を、少しだけ聞いていただけたらと思います。
私が弓道を始めたのは、仲の良い友人に誘われて何となく部活見学に行き、そのまま流れで入部したのがきっかけでした。同期は15名。部活の日々は楽しいものでしたが、肝心の弓道はもともと不器用だったせいか、形になったのは15名の中で最後。試合にもほとんど出られないまま3年間が過ぎました。
引退のとき、顧問の先生に「どうなることかと一番心配していた」と言われたほどです。
だから正直なところ、引退したときは、寂しさよりもほっとした気持ちのほうが大きかった。その後は新しい生活への期待に夢中で、弓道のことはすっかり頭から消えていました。
ところが、進学して部活やサークルの見学が始まる頃、気づいたら一人で道場に向かっていました。誰に誘われたわけでもありません。自分でも不思議でした。
たぶん、3年間でどうにか「形になった」ものの、段も取っていない、試合にもほとんど出ていない、自分の射と呼べるものもないまま――その中途半端さが、どこかに引っかかっていたのだと思います。
そして大学4年間で、段を取り、試合に出て、自分の射を模索するスタートラインにようやく立てました。高校時代のやり残しを、ひとつずつ取り返していきました。あのとき道場に向かっていなかったら、弓道は「きつかった思い出」のまま終わっていたかもしれません。
弓道を続けるかどうか、今すぐ決めなくてもいいのではないかと思います。 私も決めていませんでした。気づいたら道場にいただけです。
ただ、もしいつか「もう一度引いてみようかな」と思うことがあったら、そのときはどうか気軽に弓道の門を叩いてみてください。
そのときはぜひ、ここ「咲矢弓道具」を思い出してください。皆さんの”わくわく”する再出発を、全力でお手伝いいたします。
新しい世界でのご活躍を、心よりお祈りしております。
令和八年 弥生 吉日
咲矢弓道具一同



